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昨年の2015年1月、フランス・リヨンにて開催された世界最高峰のパティスリー・コンクール「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー2015」。世界21ヵ国から各国3名の代表に選ばれたパティシエが一組のチームとなり、世界の頂点を目指して製菓技術とチームワークを駆使した熱い戦いを繰り広げました。結果はイタリアチームが実に9大会ぶりとなる金メダルに輝きました。中山和大選手、コ永純司選手、杉田晋一選手の3名で構成された日本チームは、二大会連続となる銀メダルを見事獲得。各国を代表するパティシエ達が作り上げた華々しい作品の数々に、世界中の人々が酔いしれたことでしょう。
![]() 国内予選決勝のテーマは「TIME(時間)」、「VOYAGE(旅)」、「NATURE(自然界)」の中からいずれか一つを選択するといもの。これらのテーマを元に各選手は作品を考案。事前に行われた一次審査を通過した選手が国内予選決勝へと駒を進めます。今回の決勝進出者は、A部門(アントルメ・ショコラ、飴細工)が10名、B部門(アシェット・デセール、チョコレート細工)が10名、C部門(アントルメ・グラッセ、氷彫刻)が5名。この中から各部門それぞれ1名の代表の座をかけて製菓技術を競い合います。 ![]() 長時間の競技を終えて見事代表の座を獲得した3選手は以下の通りになります。 ─────────────────────── ■ A部門 : 駒居 崇宏(株式会社シュゼット) ■ B部門 : 植ア 義明(森永商事株式会社) ■ C部門 : 山本 隆夫(株式会社クラブハリエ) ─────────────────────── 今回決定したクープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー2017の日本代表は、全員年齢が40歳を超えるベテランチームとなりました。これから本大会までの数か月間、日本代表に選ばれた3選手は、練習を繰り返しながら作品の作り込みを行うことになりますが、国内予選を勝ち抜いた技術とベテランならではの経験を武器に、本大会での金メダル獲得を期待しています。 それでは各部門の入賞者と国内予選決勝出場者を紹介していきます。 A部門 「アントルメ・ショコラ、アメ細工」入賞者
![]() A部門金賞を受賞した駒居選手の作品は「ウサギとカメ」がモチーフ。時計の針や車輪など複数のパーツを巧みに重ね合せた柱の上に、手綱でウサギを操るカメを乗せたストーリー性のあるピエス。カメの甲羅のようなデザインのアントルメ・ショコラは、バイベ・ラクテとイランカを使用したクレーム・ショコラ・フレーズをベースに、ドゥルセのムースなど複数の層で構成。カットすると断面がウサギのシルエットに見えるセンターが仕込まれています。
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伊藤選手の作品は、今にも動き出しそうなダイナミックな鹿のピエスモンテに、切り株を連想させるアントルメ・ショコラを組み合わせています。ピエス中央に飾られている大きな赤い花が印象的。自然の生命力を感じさせる力強い作品です。
B部門 「アシェット・デセール、チョコレート細工」入賞者
![]() 見る人の想像力をかき立てる独特の世界観を持つピエスモンテを作成したB部門金賞の植ア選手。下半分が樹木に変化した巨大な腕時計、腕時計を突き破るカエル、腕時計に絡みつくツタやコケなど、多数のパーツを見事に組み合わせて細部までしっかりと作り込まれています。アシェットデセールは、卵型のショコラケースの中にイチゴやフロマージュブランをメインにしたムース、グラス、コンフィなど複数のパーツが閉じ込められています。
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今大会では紅一点のパティシエール・向井選手は、アンティーク調の質感が美しいピエスと、フランス・パリにあるキャバレー「ムーラン・ルージュ」をモチーフにしたアシェットデセールを作成。細部まで丁寧に仕上げられた繊細な作品。
C部門 「アントルメ・グラッセ、氷彫刻」入賞者
![]() C部門金賞の山本選手は、百獣の王ライオンの氷彫刻を作成。逆立つ鬣や力強い牙もしっかりと彫り込まれており、筋肉の躍動感まで伝わってくる迫力のある作品です。ロール状のアントルメグラッセは、フランボワーズ、アプリコット、ココナッツなどフルーティーな素材を使用したパーツを組み合わせています。複数の円で構成された断面と、フランボワーズとアプリコットのピューレで作った表面の花模様が非常に印象的な一品。
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C部門銀賞は、翼を大きく広げた鳥の氷彫刻を作成した小熊選手。羽の細かな質感まで彫り込まれています。アントルメグラッセは、バニラ、コクリコ(ヒナゲシ)、フランボワーズ、ライチなどの素材を使用しています。
![]() クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー
1989年にM.O.F.(フランス最優秀職人章)の称号をもつガブリエル・パイアソン氏と、フランスのトップチョコレートメーカー・ヴァローナ社によって設立された、世界を代表するパティスリーコンクール。開催は2年に1度行われ、世界20か国以上から各国の予選を勝ち抜いたパティシエたちが、「アメ細工、アントルメ・ショコラ」、「チョコレート細工、アシエット・デセール」、「氷彫刻、アントルメ・グラッセ」の3部門の競技で、世界の頂点を目指して腕を競い合います。https://twitter.com/cdm_comite_jp ![]() ヴァローナ(VALRHONA)社について
1922年フランス、ローヌ地方の菓子職人が創業。 カカオの品種や産地別に分類した商品をいちはやく展開した世界トップクラスのチョコレートメーカー。 超一流洋菓子店、レストラン、ホテルご用達の製菓材料であり、個性的な商品構成は、 その商品名が時にケーキやドリンクの名前にも付けられるほどの存在感です。 2007年には、フランスに次いで世界で2校目になるショコラの専門技術学校を、東京に設立。 さまざまな研修プログラムが用意されている。▼ エコール・ヴァローナ 東京 http://www.valrhona.co.jp/ecole/ |
過去に開催された、講習会や教室の一覧ページ
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